雪に閉ざされた田舎町で慎ましく暮らす三人の男が、飛行機事故に遭遇。墜落した飛行機には400万ドルが積まれていた。三人で山分けする計画を立て実行するも、大金に関わった人間がみな不幸になっていく。
『死霊のはらわた』と『スパイダーマン』のサム·ライミが、おおよそ『死霊のはらわた』と『スパイダーマン』の間に撮った作品。大好きなブリジット·フォンダが出ているのでタイトルは知っていたものの、(この映画を見終えしまうと美しかった頃のブリジットが出てる映画が減ってしまうという道化じみた理由のために)ずっと観ずにとっていたのをようやく初鑑賞しました。
全編観終え、ジーザス!なんて素晴らしい映画だ!!って神とかに感謝したい気分笑。汚い金を手にした人間たちが、互いに疑心暗鬼になり、良心が錆びついてく過程がとてもリアル。手元には400万ドル、事情を知って自分を脅してくる友人や、降って湧いてきたお金によって、人生で初めての幸福を掴みたいと願う知的障害者の兄。主人公と同じ状況に置かれれば、誰だって彼と同じ行動を取るに違いないも思わせられる説得力が本作にはある。多分シナリオには、当時ライミと同居していたコーエン兄弟が関わってると思う。
大金を手にするまでは絵に描いたような貞淑な女性だった新妻が、金を前に次第に本性をあらわにし、豹変していく描写が特に素晴らしい。ブリジット·フォンダ演じる彼女が一番冷静で、一番狂気じみている。それに夫婦間に赤ん坊が産まれるシーンを挟むことで、どんな犠牲を払ってでも大金を手にしようとするまさに「母は強し」な女性像を提示してみせた手腕もお見事。
ブリジッドの未鑑賞作品にこれを残しておいてよかった、、それにしても、西部劇の英雄ヘンリー·フォンダの孫にして、大女優ジェーン·フォンダの娘、俳優になるために生まれてきたようなバックグラウンドに、非の打ち所のない完璧な容姿。どうしてこの人がハリウッドで花開かなかったのか本当に不思議でならない。彼女の映画を観るたびにその「なぜ」は募っていく。
綿密に練られ、そして誰一人幸せになれないストーリーってなんでこんなに心が豊かになれるんだろう笑。今年はもうこれを超えるサスペンスには出会えないかもしれない。それくらい自分には響いた一作でした。